特集 2017.01.27
【 ドールを作っているのはどんな人?どんな場所?!そんなギモンにお答えします! 】
小さな着ぐるみドールから大きめサイズのドールまで
幅広いドール制作を手掛ける、韓国メーカー『 WITHDOLL 』。
着ぐるみドールの衣装制作から、愛らしく美しいドール達まで、
多岐に渡るデザイン性の高さが魅力の『 WITHDOLL 』の今後の展開、制作事情について質問しました。
写真で 翼、お洋服、エルフ造形のドールに欠かせない剣の制作過程や制作時に実際に使われているツールをご覧いただけます!
With Doll代表 Ginny Kimさん (聞き手:DOLK スタッフ)
■DOLKスタッフ(以下D):メーカーを設立されたのは、いつですか?また、設立した時は、何名で運営を始められたのでしょうか?
■WITHDOLL:WITH DOLLを創立したは、2010年12月30日です。
去年末、今から半月前にちょうど創立6周年でした。
設立当時は、5人で活動を始めました。
■D:「WITH DOLL」の由来を教えていただけますか?
■WITHDOLL:WITH DOLLという名前は、「Play with a doll」から取ったものです。
誰しも、子供の頃に人形を持って遊んだ思い出が、少なからずあると思います。
人形に自分自身を投影させたりして、いろいろなお話を作った事もあるでしょう。
名前を付けて、髪をといて、きれいな服と靴を履かせたりまします。私も子供の頃は同じようにしていました。
内気で友達が多くなかった私は、自宅で弟と人形遊びをする日が多かったんですよ。それに、私は人形遊びが純粋に大好きだったんです。
まるで即興劇をするように話を作って、私はその話の中で、私が必要なすべてのものになることができました。それは、いつもときめきがいっぱいの時間でした。
ある日、母親の古い服を切って人形の服を作った事もありました。白のやわらかい布で作られた服でしたが、それで人形サイズのナース服を作ったことを覚えています。白ワンピースの胸に付いたポケットに赤い糸で十字マークを刺繍しました。ナース服だったからでしょうか(笑)
まあ、そういった人形遊びをして過ごした幼年時代のときめきと楽しさを込めて、『WITH DOLL』と命名したんです。
■D:現在は何名で運営していますか?
可能であれば、各担当(造形アーティスト・メイクアップアーティスト・企画など)の方々のお名前なども教えていただけますか?
■WITHDOLL:現在、制作関連の担当メンバーは、6名です。
ユヒョン、オヨンジン、チェㅇㅇ(匿名希望)、この三人が造形を担当しています。
ユヒョン氏はWITH DOLLの造形アーティストの中でもメインで頑張ってくださっていて、ボディとほとんどのヘッドがユヒョン氏によって制作されています。
オヨンジン氏は、最初は造形ではなく生産担当として働いていたのですが、2014年から造形アーティストとして活動を開始しており、16cmドールのヘッド製作を担当しています。
匿名希望のチェㅇㅇ氏は、比較的最近WITHDOLLのスタッフに加わってくださった造形アーティストで、『Ugly DucklingのShawn』と『Bad BoysのAce』ヘッドを製作しました。
メイクアップアーティストキムㅇㅇ(匿名希望)氏は、WITH DOLLと一緒に仕事する前から人形のメイクアップアーティストとして活動した経験豊富なベテランです。
衣装アーティストであるチョン・ウニさんは、ファッション業界で活動されてからこの世界に転向されていて、WITH DOLL創立時期からWITH DOLLの衣装を担当してきました。
そして最後に、企画や撮影は...私が担っています (笑)
ご紹介が遅れました、こんにちは、Ginny Kimです!
■D:新しいドールをデザインして新商品として販売するまでの流れと、どれくらいの時間をかけて新しいドールを制作されるか教えてください。
■WITHDOLL:まず、一番最初にキャラクターを構想します。そして、全体的なビジュアルを具体的に想像するための色々とイメージを膨らませていきます。
そして企画会議で構想に微調整を加えながら、更にイメージなどを練っていきます。
このようにして決定したキャラクターの性格と特徴を造形アーティストに伝えます。
造形アーティストはヘッドの製作に先立ち、エスキット(esquisse)…つまりラフ画をまず制作し、ラフ画がイメージと一致すれば、ヘッドの製作に入ります。
ヘッド一つが完成するまで、半月から一ヶ月程度の時間がかかります。
■D:造形師のユヒョンさん、オヨンジンさん、チェㅇㅇさんの3人の造形に関するこだわりや、特徴などを是非教えて頂けますか?
■WITHDOLL:ユヒョンさんは、完璧主義な所があって綿密なスケジュールに沿って作業を進められるため、作業期間は相対的に少し長い方なんです。告知をご覧いただいた方はご存知かもしれませんが、もうすぐ公開される予定の60cmの男の子ボディは製作に一年余りの長い時間がかかりました。ボディの完成度と関節可動性を高めるために数回の修正の過程を経たからです。
60cmの男の子ボディの完成度の高さには是非、期待してください (笑)
オヨンジン氏は、生産担当スタッフとして勤務しながら時々造形についての修行過程を経てWITH DOLLの造形アーティストになりました。16cmドールのヘッド製作を担当しており、2014年から現在に至るまで、様々なスタイルの個性的なヘッドを披露しています。
保守的なスタイルに固執するよりも、さまざまな新しい試みをしようと努力する方ですね。
チェㅇㅇさんは出産のためのブランク期間を経て復帰された、キャリア10年目のベテランです。
最近では、Ugly DucklingのShawnとBad BoysのAceヘッドを製作し、2012年に発売されて以来、多くの人に愛されている「Cathy」のヘッドも彼女の作品なんですよ。
チェㅇㅇさんが製作したヘッドは、全体的に柔らかな印象を与える傾向があります。
■D:造形やメイク担当の方は、専門的な勉強の経験がありますか?
■WITHDOLL:造形アーティストの場合、ユヒョンさんはソウル大学東洋画科を、オヨンジン氏はハンソン大学のアニメーション科を、チェㅇㅇさんは彫刻を専攻しました。
メイクアップアーティストであるキムㅇㅇさんもアニメーションを専攻していたんです。
ちなみに、企画を担当する私も韓国総合芸術学校造形芸術を専攻しました。
専攻は少しずつ異なりますが、全員が美術大学の出身です。
■D:造形師やメイクアップアーティストの方への質問になりますが、制作時に使う道具は何を主に使用されますか?
■WITHDOLL:使用する材料の強度に応じて完成するドールのイメージって異なってくるんですよ。
エポキシパテやポリパテなどの強度の高い材料を使用するユヒョンさんの場合、ディテールの表現力が細かい方です。
シバツールのように、比較的脆い材料を主に使用しているチェㅇㅇ氏は、より柔らかい印象を与えるヘッドを作成します。
造形ツールは、2人ともハンドピースを主に使用します。
メイクアップアーティストであるキムㅇㅇ氏は細筆筆、アクリル塗料、パステル、エアブラシなどを主に使用します。
■D:ドールを制作する時に、一番苦労することはなんですか?
■WITHDOLL:衣装製作が最も難しいと思います!
造形とメイクアップの作業は、使い慣れた材料とツールを使用するので、製作過程としては大きな変化などはないんですよ。
…しかし、衣装製作の場合、使用可能な生地の種類が多くて、生地ごとに特徴が異なりますから、非常に選択肢が多いんです。
衣装を完成させるまでには、最小でも複数回の修正の過程が必要なんです。
衣装に関しては締切過ぎに、やっと完成される場合が多々あります。
プランナーの私は、まるで漫画家に原稿を催促する編集者と同じような状態で、衣装のアーティストに催促する日々なんです。
お互いに、かなり疲れてしまう事もよくあります。
しかし、キャラクターを実現化する上で衣装が非常に重要な部分を占めるため、適当にすることができないんですよね…(ため息)
ですが結果として満足のいくものが仕上がれば、それまでの苦労を全部、忘れます!(笑)
■D:WITHDOLLは大きいドールから小さな着ぐるみのドールまで、多くのドールを制作されていますが、いつもドール達の設定(物語)などは皆さんで相談して決めておられるのでしょうか?
■WITHDOLL:企画は、プランナーである私の担当なのですが、普段から多くの人に意見を聞くようにしています。
他のメンバーの意見を参照にアイデアを出して、アイデアを深みを出すために、多方面にリサーチをします。リサーチの過程を経てアイデアが十分に具体化されると、再びメンバーにそのアイデアを見てもらって意見を求めます。
自由な雰囲気の企画会議と言えますね。このような過程を介してアイデアを構想して、修正して、深みを出して最終的な企画案を完成させます。
■D:去年末に新しくリリースされた2016 Holiday Edition / Bad Boysの3人は兄弟なのでしょうか…?!
■WITHDOLL:クマ科とイタチ科では種族が異なりますので、三兄弟になることは難しいですね…(笑)
イタチ科オコジョのジャックスとネオは兄弟であっています、双子なんですよ。ヒップホップとスノーボードが大好きなんですよ。
スノーボードに乗ったネオとジャックスはコーラに酔っているシロクマのエースと偶然出会うんです。
シロクマのエースは、ネオとジャックスにコーラを勧めるんですが、生まれて初めてコーラを味わったジャックスとネオは、その味に完全にはまってしまいます。
<Bad Boys>は、環境汚染のために厳しい状況へと変化しつつある北極で、明るく生きているかわいい悪童たちの物語なんです。
■D:非常に人気の高い『Penguins Holiday』の3人は友達ですか?それとも、兄弟ですか…?!
■WITHDOLL:その三人は、兄妹なんですよ。
「Penn」が長男ですが責任感が強い立派な性格です。
「Poppy」は唯一の女の子で2番目です。二人の男兄弟の愛情をたっぷり受けています。
そして「Pooky」は、表情で分かるようにいたずらっ子の末っ子です。
3人きょうだいの中で、WITH DOLLのファンの皆さんに最も多く愛されたのはPooky!
やはり愛情は末っ子が独占してしまうのが世の常でしょうか…(笑)
■D:WITH DOLLのドール達の中で、特に人気のあるドール達を教えてください!
■WITHDOLL:<Penguin's Holiday>、<Happy Ending Series>、<Egon、The Elf Knight>、<Repuria、Island of Fog / Cecily、the polluted girl>
この子たちはドールオーナーの皆さんにとっても愛されています!
■D:WITH DOLLが目指す、今後の展開や目標などがあれば教えてください!
■WITHDOLL:60cmの男の子ボディが完成されることによって、全てのラインを揃える事ができました。
今年から新しい人形をより多く、より頻繁に披露することができるようになりそうですね。
16cmボディもリニューアル作業を進行中なのですぐに新しい姿をお見せする事ができると思います。
41cm女の子ボディも今年中にリニューアルされる予定です、ぜひ楽しみにしてくださいね。
■D:日本のWITH DOLLのファンにメッセージをお願いします!
■WITHDOLL:こんにちは。日本にいるWITH DOLLを好きでいてくださっているドールオーナーの皆さん。
文章という形ではありますが、このように日本のドールオーナーの皆さんにご挨拶を伝えることができて、とにかく嬉しい気持ちでいっぱいです。
実は今年から、日本国内オフラインイベントに参加する予定ですので、直接ご挨拶する機会が出来る予定なんです。
その日が一日も早く近づいて来るのを、今から心から楽しみにしています(笑)
そして、今までWITH DOLLとWITH DOLLのドール達へ送ってくださった多くの愛情と関心に心より感謝申し上げます。
これからも、WITH DOLLに変わらず関心を持っていただけるよう頑張りますので、どうぞ宜しくお願い致します!
■D:本当にたくさんの、貴重なお話を聞かせてくださって有難うございます!
Penguin's HolidayのPooky君は末っ子だったのですね♪
以前に一度、ミニインタビューの際に衣装制作に苦労されたお話を断片的に伺っていましたが、毎回可愛くて美しい衣装を制作されている背景まで詳しく知る機会を与えてくださり感謝しています。
今回お伺いできなかった他のドール達の物語を、教えていただく機会をいつかきっと設けたいです。
新たに完成した60cm男の子ボディや、リニューアル予定の既存ボディ、そして今後の新作ドールも楽しみにしています!